賃貸住宅でプロパンガス料金が異様に高いと感じたことはありませんか。
それ、ガス設備の「無償貸与」が原因かもしれません。
また、新築時のプロパンガス契約の際も「無償貸与(貸し付け配管)」は初期費用を抑えることができるというメリットがある一方、デメリットや注意点もあるためよく確認してから契約することが大切です。
今回はプロパンガスの契約について、あまり知られていないけど知らないと不利益となるかもしれない無償貸与契約について考えます。
新築時プロパンガス「無償貸与」契約の注意点

とはいえほとんどの場合、負担してもらった費用は契約期間中ガス料金に分割、上乗せされることになります。
新築時に無償貸与の対象となることが多い設備は、給湯器とガス配管です。
無償貸与契約のメリット
初期費用を抑えることができる
ということです。
マイホーム新築の際は、土地や建物に加えてローンなど諸々の手数料や火災保険、外構工事や家具家電等、ローン以外に必要になる諸費用も多くあります。
そんな中、少しでも初期費用を抑えることができるという点にメリットを感じる方も多いかもしれません。
無償貸与契約のデメリット
・無償貸与となる設備や工事費が割高(上乗せされる価格が高額)な場合がある
・契約期間中に値上げされていく場合がある
・契約期間中にガス会社を変更すると違約金が発生する
・最低契約期間経過後(無償貸与期間終了後)もガス料金が安くならない場合がある
このように無償貸与契約はメリットだけではないため注意が必要です。
賃貸住宅契約時プロパンガス契約の注意点

住んでみて初めて、「なんでこんなに高いの?」と驚いたという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
賃貸住宅では新築時契約以上に注意が必要です。
プロパンガスは要注意!ガス料金に設備費用が含まれている場合がある
賃貸住宅の場合、料金に上乗せされている設備は新築と同じく給湯器やガス配管設備費、それにコンロ等が含まれている場合もあります。
中にはエアコンやトイレ、インターホンまで含まれているケースもあります。
このような場合、月のガス料金が数千円上乗せされていてもおかしくありません。
新築の場合は自身が所有する住宅設備なのでよいですが、賃貸入居者が設備費用を支払うのは本来納得がいかないと思うのですが、いかがでしょうか。
プロパンガスの場合は入居者によるガス会社の変更もできません。
賃貸住宅に無償貸与契約が多いわけ
それは、物件オーナーにとってメリットがあるからです。
賃貸住宅のガス配管工事は戸建てに比べ高額になるケースもあります。
本来その費用は建築時費用としてオーナーが負担するものですが、無償貸与契約にすることでガス料金に上乗せすることができる、つまり入居者の負担とすることができるのです。
前述の通り、エアコンやトイレ、インターホン等の設備も加えることができる場合もあり、不動産会社や大家にとっては懐を痛めることなく設備を設置できるのでメリットが大きいと言えます。
また、無償貸与契約は中小のプロパンガス会社にとって生き残りの手段となっているという背景もあります。
さらにいえば、不動産会社や大家から圧力をかけられることもあり、これが業界の悪しき慣行となっているのです。
そしてその料金回収のため、入居者にしわ寄せがきているのです。
プロパンガス料金が不当に高いのにガス会社を変えられない!という事態にならないために

2016年4月から電力自由化が開始され、翌年2017年4月からは都市ガスの自由化も始まったことにより、「ガス会社の見直し」も検討される機会が増えてきました。
ですが、元の契約が無償貸与契約の場合は期間中制約があるため自由にガス会社を変更することができません。
そもそも賃貸住宅の場合、都市ガスはよいのですがプロパンガスは配管やメーターなどの設備が異なるため、ガス会社の変更は基本的にはできません。
なので、最初に契約する際はこのことを念頭によく理解した上で契約することが重要になってきます。
では納得した契約とするためにはどうすればよいのでしょうか。
新築、賃貸住宅それぞれで確認していきましょう。
新築の場合
①信頼できるガス会社を選ぶ
当然のことのようですが、以前よりプロパンガス業界では自由料金制であるがゆえ料金が不透明であったり、悪質な会社が存在していることもあるため、透明性のある信頼できる会社かどうかを見極めることはまず大事な点といえます。
事前の説明や契約の際にガス会社の担当者が同席しないケースや、不動産会社やハウスメーカーが「ガス会社負担で工事設置ができます」と詳しい説明のないまま誤解を生む案内をしているケースなどは、特によく内容を確認する必要があるでしょう。
②契約内容をよく確認する
これもガス契約に限らず当然のことですが、いい加減な確認で契約を進める人も多いのではないでしょうか。
契約書に同意、サインし、後々文句を言っても基本的には通用しないというものです。裁判等で主張が認められるケースもありますが、基本はそんなレベルと認識しておく必要があります。
・(無償貸与となる)設備費や工事費、ガス単価の上乗せ額は妥当か
・違約金
等しっかり確認しましょう。
契約書に無償貸与の内容が明記されていない場合は、“透明性のある信頼できる会社”とは言い難いため、担当者に詳しい説明を求めるか、考え直した方がよいと思います。
これらに問題がなく、理解、納得できた場合は、メリットのある無償貸与契約とすることができるかと思います。
賃貸住宅の場合
前述の通り、無償貸与契約に限らず通常のガス料金が高額なケースもあるため、やはり物件検討時の確認事項の一つとして認識しておくのがよいと思います。
契約内容の確認点は、
・基本料金、従量料金は妥当か
・無償貸与契約(設備料金の上乗せ)の有無と金額
契約書に詳細が明記されていないこともあるため、不動産会社等を通してよく確認することが大事です。
住宅の契約を決めて、いざ手続きの際に納得できない無償貸与契約に気付いたというのでは遅いですから、検討の段階で確認しておく必要があります。
通常光熱費関係の契約説明は検討段階では行われませんので、こちらから確認するのを忘れないようにしましょう。
いくら家賃が予算内でも、もし無償貸与契約で実質的に設備・工事費の負担がある場合は家賃の上乗せ分と考えるべきです。
その上で納得できるのであれば、契約を進めてOKです。
わからない点は質問するなどし、きちんと理解した上で契約することが大切です。
賃貸住宅プロパンガス料金、設備費用上乗せ禁止へ法令化

トラブルや裁判例も多くありましたが、これまでは設備費用上乗せへの規制はなく、契約に際しても経産省が基本料金や従量単価を明記するよう「お願い」するに留まり、努力義務でしかありませんでした。
ここへきてようやく、法令による規制の明確化が実現しそうです。
2027年度の施行を目指す
また先立って24年度には、ガス会社から大家への「正常な商慣習を超えた利益」の供与も禁止する法令施行も目指すとのことで、これを機にプロパンガス料金の透明化が期待できそうです。
施行されるまでは「努力義務」で規制なし
ですが、「無償貸与」契約は今も存在し、今のところ罰則等もないため、やはり入居者側で注意する必要があります。
また、正式な法整備後も、料金自由化には違いないためガス会社により基本料金や従量料金単価は相違します。
契約にあたっては引き続き契約内容をよく確認の上、手続きを進めることが大切です。
エネルギーコストが高騰する昨今では、ガス料金が家計へ与える影響もより大きくなっています。
後に見直したいと思った時に見直すことができないという残念な事態にならないように、これから新築をプロパンガス契約で検討中の方、賃貸住宅のお引越しをお考えの方、お子さまの進学で一人暮らしの予定がある方はぜひご参考にしてください。
本日は以上です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
※当オフィスの総合コンサルティングでは、必要に応じてガス、電気料金の見直しシミュレーションのご案内もしています。