
FPオフィス ながのココカラ栗原です。
さていよいよ金利の先行きがわからなくなってきました。
みなさんはどうお考えでしょうか。
今回は今後の住宅ローン金利の行方について、改めて考えてみたいと思います。
アベノミクスがもたらしたもの
2012年、安倍さんが首相に就任。20年にわたり停滞し続けている日本経済を立て直すため、金融政策、財政出動、構造改革といういわゆる「3本の矢」を柱に円高、デフレスパイラルからの脱却を目指すとした政策が「アベノミクス」でした。
アベノミクスによる大胆な金融緩和により、円安、株高となり企業の業績が回復。雇用も生み出したという点で一定の成果が認められています。
一方で、アベノミクスによる異次元緩和の長期化は様々な副作用をもたらしています。
日銀が目標としている物価上昇率2%は今年4月に達成したものの、それはコロナやウクライナ情勢の影響による世界的な原材料費高騰が原因であり、日銀が目指す景気回復による物価上昇ではないことは私たちも実感するところでしょう。
景気回復どころか、給料が上がらない中で物価だけが上昇している現状に、スタグフレーションへの懸念も強まっています。
世界的なインフレ局面を迎え、異次元緩和の出口を見出していかなければならないところですが、進むにも引くにも待ち受けるのはいばらの道という窮地に立たされているのが日銀の現在地です。
アベノミクスによる大胆な金融緩和により、円安、株高となり企業の業績が回復。雇用も生み出したという点で一定の成果が認められています。
一方で、アベノミクスによる異次元緩和の長期化は様々な副作用をもたらしています。
日銀が目標としている物価上昇率2%は今年4月に達成したものの、それはコロナやウクライナ情勢の影響による世界的な原材料費高騰が原因であり、日銀が目指す景気回復による物価上昇ではないことは私たちも実感するところでしょう。
景気回復どころか、給料が上がらない中で物価だけが上昇している現状に、スタグフレーションへの懸念も強まっています。
世界的なインフレ局面を迎え、異次元緩和の出口を見出していかなければならないところですが、進むにも引くにも待ち受けるのはいばらの道という窮地に立たされているのが日銀の現在地です。
日本の金融政策
インフレの状況下、米欧の中央銀行は金融緩和を終了し、金融引き締め(利上げ)へと舵を切りました。
日本では同じインフレでも賃金の上昇、景気回復を伴っていないことから景気対策を優先、金融緩和を続けている状況です。
世界の動きに反して金融緩和を続ける中、アメリカとの金利差も広がり、物価高騰への国民の不満も高まっている状況を受け、日銀もいよいよ方向転換するのではないかとの見方も出るなど今後の金融政策に注目が集まっていましたが、今月21日の金融政策決定会合で黒田総裁は前回4月の会合に続き、引き続き金融緩和を継続すると表明しました。
日本では同じインフレでも賃金の上昇、景気回復を伴っていないことから景気対策を優先、金融緩和を続けている状況です。
世界の動きに反して金融緩和を続ける中、アメリカとの金利差も広がり、物価高騰への国民の不満も高まっている状況を受け、日銀もいよいよ方向転換するのではないかとの見方も出るなど今後の金融政策に注目が集まっていましたが、今月21日の金融政策決定会合で黒田総裁は前回4月の会合に続き、引き続き金融緩和を継続すると表明しました。
2022年7月、住宅ローン金利

金融緩和継続宣言下、住宅ローン金利はどのような反応になっているのでしょう。
政策金利の影響を受けやすい変動金利は7月現在、引き続き超低金利を維持しています。
もはや0.5%以下の金利にも驚かなくなりました。
それどころか、金利引き下げキャンペーンで更に金利を下げている金融機関も複数あります。
一方、期間選択型も含む固定金利は長期金利上昇の影響を受け、2022年2月以降上昇が続いています。
7月のフラット35金利(融資率9割以下、返済期間21~35年、期間団信加入)は1.5%を超えました。
これにより全期間固定金利(フラット35)と変動金利との金利差は1%を超え、その差は過去最大となっています。
これらの状況が、住宅ローンの選択を益々難しくしているのです。
政策金利の影響を受けやすい変動金利は7月現在、引き続き超低金利を維持しています。
もはや0.5%以下の金利にも驚かなくなりました。
それどころか、金利引き下げキャンペーンで更に金利を下げている金融機関も複数あります。
一方、期間選択型も含む固定金利は長期金利上昇の影響を受け、2022年2月以降上昇が続いています。
7月のフラット35金利(融資率9割以下、返済期間21~35年、期間団信加入)は1.5%を超えました。
これにより全期間固定金利(フラット35)と変動金利との金利差は1%を超え、その差は過去最大となっています。
これらの状況が、住宅ローンの選択を益々難しくしているのです。
変動金利引き下げが意味するもの
変動金利が引き続き低金利を維持しているのは、日銀の金融緩和政策が今後も継続されるとの見通しからと考えられます。
しかしここで注目すべきはやはり固定金利が上昇しているという点です。
これは前述の通り、2021年7月頃から長期金利が上昇していることから始まっているのですが、今後もし政策金利が変更され、日本も米欧の動き同様に金融緩和を終了し金融引き締めのフェーズに入った場合、長期金利は更に上昇するリスクがあると考えられます。
多くの金融機関が固定金利を上げているのは、こうした可能性があると示唆しているということです。
では金利が上がるかもしれないと判断しているにも関わらず、変動金利を据え置くどころか更に引き下げているのはどういうことなのでしょう。
それは、金利が上がれば貸出し金利も上げればいいだけのことだからです。
変動金利は、世の中の金利動向に合わせて変動させることができるため、金融機関にとってリスクはないのです。
以前から何度もいうように、
・変動金利は金利上昇リスクを借主が負う
・固定金利は金利上昇リスクを貸主(金融機関)が負う
ものです。
金融機関が固定金利を上げているのは、金利が上がる可能性があると判断し、被るリスクを回避するという意図があるからです。
その反面変動金利を下げることで顧客獲得機会損失を回避しようとしているのです。
繰り返しになりますが、日銀が利上げに踏み切れば貸出し金利も上げればいい訳ですから、金融機関にとって大きな損はないということです。
しかしここで注目すべきはやはり固定金利が上昇しているという点です。
これは前述の通り、2021年7月頃から長期金利が上昇していることから始まっているのですが、今後もし政策金利が変更され、日本も米欧の動き同様に金融緩和を終了し金融引き締めのフェーズに入った場合、長期金利は更に上昇するリスクがあると考えられます。
多くの金融機関が固定金利を上げているのは、こうした可能性があると示唆しているということです。
では金利が上がるかもしれないと判断しているにも関わらず、変動金利を据え置くどころか更に引き下げているのはどういうことなのでしょう。
それは、金利が上がれば貸出し金利も上げればいいだけのことだからです。
変動金利は、世の中の金利動向に合わせて変動させることができるため、金融機関にとってリスクはないのです。
以前から何度もいうように、
・変動金利は金利上昇リスクを借主が負う
・固定金利は金利上昇リスクを貸主(金融機関)が負う
ものです。
金融機関が固定金利を上げているのは、金利が上がる可能性があると判断し、被るリスクを回避するという意図があるからです。
その反面変動金利を下げることで顧客獲得機会損失を回避しようとしているのです。
繰り返しになりますが、日銀が利上げに踏み切れば貸出し金利も上げればいい訳ですから、金融機関にとって大きな損はないということです。
住宅ローン金利今後の行方
2012年から始まったアベノミクス。2013年、日銀に黒田総裁が就任してから続く異次元緩和ですが、長期化による副作用も問題視され、ここ数年出口を見出す必要性も叫ばれています。
ですが安倍さん退陣後もその影響力は大きく、その後の政権でもアベノミクスが否定されることはなく、異次元緩和が続いています。
しかしこの間コロナ、ウクライナ侵攻、世界的な物価上昇、米欧の利上げ...と世の中は大きく変化してきました。
そしてアベノミクスを主導した安倍さんも突然に亡くなりました。
ですが安倍さん退陣後もその影響力は大きく、その後の政権でもアベノミクスが否定されることはなく、異次元緩和が続いています。
しかしこの間コロナ、ウクライナ侵攻、世界的な物価上昇、米欧の利上げ...と世の中は大きく変化してきました。
そしてアベノミクスを主導した安倍さんも突然に亡くなりました。
2023年4月、日銀黒田総裁任期満了
これまでも異次元緩和政策は既に限界であり、どんなに遅くとも来年4月の日銀黒田総裁任期満了による後任人事によって金融政策が大きく転換されるのではとの見方も広まっていました。
過去記事でもその点に触れています。
確かに金融的にはその必要性、可能性が大きいという意見は多いものの、政治的には政権が変わっても安倍さんの影響力が引き続き大きい中、場合によってはアベノミクスを否定することにもなりかねない「出口」をどう示すのか、その判断が難しくなるのではとの懸念もあったのではないでしょうか。
しかし安倍さんの睨みが効かなくなった今、いよいよ政策転換が現実味を帯びてくるのではないかと感じています。
これから潮目が変わっていくかもしれません。
今後の動きにも注目していきたいところです。
過去記事でもその点に触れています。
確かに金融的にはその必要性、可能性が大きいという意見は多いものの、政治的には政権が変わっても安倍さんの影響力が引き続き大きい中、場合によってはアベノミクスを否定することにもなりかねない「出口」をどう示すのか、その判断が難しくなるのではとの懸念もあったのではないでしょうか。
しかし安倍さんの睨みが効かなくなった今、いよいよ政策転換が現実味を帯びてくるのではないかと感じています。
これから潮目が変わっていくかもしれません。
今後の動きにも注目していきたいところです。
マイホーム計画の心得

住宅ローンの選び方はこれまでお伝えしてきたことに変わりありませんので、過去記事も改めてご参考にしていただければと思いますが、特に変動金利の選択も視野に入っている人(変動金利を選んでもいい人)は今まで以上に悩ましい状況になっているのではないかと思います。
固定金利も含め、今後は仮診査から融資実行までの間に金利が想定以上に上昇する、ということも有り得るかもしれません。
ちなみに当オフィスでマイホーム計画中の方のコンサルティングをする場合、融資実行時の金利が上昇していると見越し、コンサルティング時点での金利よりも上乗せした金利で試算をしています。
2020年7月にご相談を受けた件では、7月の全期間固定金利(フラット35 融資率9割以下、返済期間21~35年、期間団信加入)は1.3%でしたが、試算では1.4%と想定していました。
この件では融資実行が翌年の6月だったため、実際の金利は1.35%と、想定内の金利で収まりましたが、2年経った現在、2022年7月金利は1.51%ですので、当オフィスの2年前の想定を既に上回っていることになります。
現在のご相談においても金利を上乗せして試算していますが、今後もし金利が急上昇した場合には、想定を超える可能性もあることは否定できません。
今までよりもその懸念は強まっていると言えるかもしれません。
※変動金利の想定金利はかなり厳しめ想定で試算しています。
基本的には余裕を持たせたライフプランでご案内するため、多くの場合、金利上昇による多少の誤差は大きな問題とはなりませんが、一部、ご家庭の収支状況やマイホーム計画のご希望内容等々により余裕が大きく見込めないプランとなるケースはより注意が必要になりそうです。
余裕がないケースについては、今後は今まで以上に無理のない資金計画が必要になるでしょうし、場合によっては計画の見直しも必要になるかもしれません。
住宅ローンの返済は多くの場合長期間にわたるため、いろいろな想定、判断が必要になってきます。
VUCA(先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態)の時代、一部の情報や感覚だけで大きな借金を背負うのはやはりリスクが大きいです。
ライフプランを確認することで、確実な答えはなくとも、一つでも多く可能な限りの想定を見える化し、漠然とした不安を消去していくことができるはずです。
今こそライフプランを通したコンサルティングが重要な局面になっているのではないかと感じる今日この頃です。
固定金利も含め、今後は仮診査から融資実行までの間に金利が想定以上に上昇する、ということも有り得るかもしれません。
ちなみに当オフィスでマイホーム計画中の方のコンサルティングをする場合、融資実行時の金利が上昇していると見越し、コンサルティング時点での金利よりも上乗せした金利で試算をしています。
2020年7月にご相談を受けた件では、7月の全期間固定金利(フラット35 融資率9割以下、返済期間21~35年、期間団信加入)は1.3%でしたが、試算では1.4%と想定していました。
この件では融資実行が翌年の6月だったため、実際の金利は1.35%と、想定内の金利で収まりましたが、2年経った現在、2022年7月金利は1.51%ですので、当オフィスの2年前の想定を既に上回っていることになります。
現在のご相談においても金利を上乗せして試算していますが、今後もし金利が急上昇した場合には、想定を超える可能性もあることは否定できません。
今までよりもその懸念は強まっていると言えるかもしれません。
※変動金利の想定金利はかなり厳しめ想定で試算しています。
基本的には余裕を持たせたライフプランでご案内するため、多くの場合、金利上昇による多少の誤差は大きな問題とはなりませんが、一部、ご家庭の収支状況やマイホーム計画のご希望内容等々により余裕が大きく見込めないプランとなるケースはより注意が必要になりそうです。
余裕がないケースについては、今後は今まで以上に無理のない資金計画が必要になるでしょうし、場合によっては計画の見直しも必要になるかもしれません。
住宅ローンの返済は多くの場合長期間にわたるため、いろいろな想定、判断が必要になってきます。
VUCA(先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態)の時代、一部の情報や感覚だけで大きな借金を背負うのはやはりリスクが大きいです。
ライフプランを確認することで、確実な答えはなくとも、一つでも多く可能な限りの想定を見える化し、漠然とした不安を消去していくことができるはずです。
今こそライフプランを通したコンサルティングが重要な局面になっているのではないかと感じる今日この頃です。