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自社株は買うべきか否か

FPオフィス ながのココカラ 栗原です。

総合コンサルティングの際、自社株についてご相談を受けることがあります。

みなさんの中にもお勤めの会社の持株会に加入されている方も多いのではないでしょうか。

ですが大抵は「自ら進んで積極的に」ということではなく、「勧められて」や、中には「半強制的に」という理由で「よくわからず保有している」という方が多い印象です。

今回は、自社株の保有について考えてみたいと思います。

自社株保有のメリットとデメリット

「上司に勧められて始めたけど...これってどおなの?」、「もっと額を増やした方がいい?」
そんな疑問を持っている方も多いかもしれません。
まずは自社株保有のメリットとデメリットから確認してみましょう。

自社株保有のメリット

自社株を保有するメリットは、
・少額から手軽に始められる
・給与天引きで自動買い付けできるため簡単
・奨学金が付きお得感がある
などが挙げられます。
通常株を購入するには100株~1000株単位ということになるため高額な手持金が必要となりますが、持株会であれば自身の出資金額に応じて購入できるため少額から手軽に始めることができます。
また、給与天引きされるため自動的に購入、積み立てが可能です。
そして多くの場合5~15%程度の奨励金(補助)があるため、実質的に割引価格で購入できるというお得感もあります。

自社株保有のデメリット

ではデメリットはなんでしょうか。
・リスクの集中化
・売却時の手続きが面倒
・株主優待がない
リスクの集中化については後述するとして、売却時の手続きが面倒というのもデメリットの一つです。
購入時は事前に設定した決まった金額を決まった日に定期購入するためインサイダー取引にはなりませんが、売却の場合はインサイダー取引の可能性を排除するため事前の届け出が必要になるなど手続きが面倒な上、自分が思うタイミングで売却できないという難点があります。

自社株を保有するということは、
所得と資産が同じリスクを抱えるということ

自社株買いは、少額から手軽に始められ、奨学金が付きお得感があるというメリットがありますが、
投資と考えた場合あまりおすすめできる手段ではありません。
最大の理由は、「リスクが集中化する」ためです。
自社株を保有するということは、所得と資産が同じリスクを抱えることを意味します。

同じリスクを抱えることの意味

自社の業績が悪化した場合、まずボーナスが減らされ、さらに悪化すれば給与も減らされます。
そしてそれに連動して自社株の価値も下がります。
つまり所得と資産が連動して同じリスクを抱えることになるのです。
もっと言うと会社の経営悪化を察知した際、売りたくても売れない。倒産が公表された際には売却可能ですが、その時にはほとんど価値がないということになっているでしょう。
最悪経営破綻した場合には、給与、職、資産を同時に失うことになってしまうのです。

集中投資のリスク

「分散投資」は資産運用のセオリーの一つですが、その点においても自社株購入は一つの銘柄に集中投資するということになるため好ましくありません。
投資銘柄を多様化させることで、価格変動リスクを抑えて安定的な運用成果を目指すということが基本となるため、この点においてもリスクの集中化ということが言えるのではないでしょうか。

持っていた方がいいかもしれないケースとは?

それは出世を目指す場合です。
こちらの真偽は私にはわかりませんが、企業の一部では持ち株保有の有無、または保有率が昇進に関わるということがあるようです。
そこが気になるようでしたら、多少持っておくのも良いかもしれません。

iDeCo(DC)やつみたてNISAの方がおすすめ

そういう訳で、個人的には自社株への投資よりもiDeCoやつみたてNISAを活用した投資の方が効率的であると思っています。
お勤めの会社にDC(企業型)制度がある場合、2022年10月の法令改正でiDeCo(個人型)への加入要件が緩和されますので、そういった方にもiDeCoの活用の幅は広がるかと思います。
こちらの改正についての情報はまた改めてご紹介したいと思います。

持株会制度は福利厚生制度の一つとして位置付けられますが、実際にはデメリットも多いということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
「従業員のモチベーションアップのため」なんて言われたりもしますが、今時そんなものでモチベーションなんて上がりますかね。
もうそういう時代ではないんじゃないかな~と思ってしまうのですが、みなさんはいかがでしょうか。

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