
FPオフィス ながのココカラ 栗原です。
みなさん「ウッドショック」という言葉を聞いたことはありますか?
住宅業界内ではかなりざわついている話題ですが、まだまだ消費者へは届いていない言葉かもしれません。
簡単に言うと、
木造住宅建築に必要な木材価格が高騰、かつ入手できない状態になっている
というものです。
これがなかなかの問題で、オイルショックならぬ「ウッドショック」として業界は騒然としているのです。
コロナショックに続いてウッドショック、これからマイホームを計画される方にも大きな影響が考えられますので、聞いたことないという方はぜひ最後まで読んでみてください。
ウッドショックの背景 何が起こっているの?

コロナの影響で言えば、ちょうど去年の今頃トイレやキッチン、ユニットバスなど、住宅設備機器が中国から入ってこないという状況が発生し、家は建ったけど引渡しできないということが起こっていました。
ですがいずれもそれほど長期化することなく、問題は解消されてきました。
しかし今回のウッドショックは材料供給の根本的な部分での問題なので、問題は根深く、先行きも不透明という点で深刻な問題となりそうです。
ではなぜウッドショックと呼ばれる事態が発生したのでしょうか。
米中で予想に反した住宅需要の拡大
コロナの影響で郊外の戸建て需要も高まっているようです。
そして中国でも同じく、景気の急回復で住宅需要が高まっています。
そんな背景が影響しているのです。
また、DIY需要の高まりというのも影響の一つとなっています。
コンテナの不足、スエズ運河座礁事故の影響
更にそれに加えて3月23日に起こったスエズ運河での大型コンテナ船座礁事故。
この事故の影響で、世界の物流は今も混乱しています。
コンテナ不足で木材が入ってこない、というのも一つの理由となっています。
日本の国際競争力の低下
当然売れる方に優先して物が回るため、日本には回ってこないのです。
加えてコンテナ不足の影響で海上運賃も高騰しています。
日本は従来より輸送コストにシビアだったため、高い運賃を受け入れている海外勢に買い負ける、ということも起こるでしょう。
日本は貿易競争に負けているということです。
この点では、木材に限らず海外から物が入ってこない、入ってきても販売価格に転嫁、つまり物の値上げに繋がる...そんなことが起こってくるかもしれません。
海外産木材がダメなら国内産木材を使えばいい!?

日本の国土の約66%は森林なんだから、今こそ国内産木材を使用したらいいじゃないか、
と言いたいところですが...
元々安い海外産に頼ってきたため国内産の供給が少ないところに、大手パワービルダーが国内産に切り替えるなど一気に需要が高まったため国内産も在庫が枯渇しているというのが現状です。
そもそも日本の林業は衰退していて人材も後継者も不足している産業ですから、今後についてもすぐに需要に応えるのは難しいというのが実情ではないでしょうか。
そんな訳で、国内産木材についても不足、価格の高騰が発生しているというのが実際のところです。
ウッドショックが業界内外に与える影響

住宅業界への影響
当然大工さんや職人さんの収入にも影響します。
住宅関連業者への影響
不動産会社も土地が売れなくなるので大きな影響を受けることになるでしょう。
住宅の販売には多くの関連業者が関わっているため、この問題は住宅業界だけの問題ではなく、日本経済にも大きな影響を与える可能性があるのです。
これ以上大きなニュースにならないことを祈るばかりです。
ウッドショックがマイホーム計画者に与える影響

実際に商談中に話題として上がっているところもあったり、中には値上げの提示をされている方もいらっしゃるようですが、業界のざわつきの割にはまだまだ静かで、情報を知らない方も多い印象です。
この静けさをなんだか不気味に感じるのは私だけでしょうか...。
住宅価格の高騰
余裕のない資金計画で計画が進んでいる方は今後のライフプランにも影響が出るでしょうし、そもそも価格(借入額)が上がることで審査が通らない=借入れができない=(予定していた)住宅が買えない
ということも起こり得ます。
また、資金計画にある程度余裕を持たせている方でも、今後のライフプランに影響してくることには違いありませんので、その点も注意が必要です。
土地が買えない
ほとんどの場合、土地のローンも住宅のローンと併せて借り入れることになるからです。
住宅の契約ができなければ、土地も手に入れられないということです。
住宅ローンの負担
多くの住宅ローンでは、土地購入の翌月から返済が開始されるため、現在アパート暮らしの場合は賃料と住宅ローンの二重払い期間が長引くことになります。
フラット35のつなぎローンを利用した場合は、土地代金の返済は最終融資時の実行となるため二重負担は発生しませんが、引渡しが遅れることで利息負担が増えることには違いありません。
今やるべきこと

この状況がいつ収束するのかは誰にもわかりません。
ただこういう状況である以上、これまで以上に資金計画やライフプランのチェックを慎重に行う必要があるのではないでしょうか。
コロナを機にこれまでの価値観が通用しない世の中になってきました。
マイホームを検討する機会に、一度立ち止まって将来のことをじっくり考えてみるのもよいかもしれません。