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コロナショックに住宅ローン破綻を考える

FPオフィス ながのココカラ 栗原です。

2020年もあっと言う間に上半期が過ぎていきました。

コロナショックに、あなたは何を思いますか。。。

今も漂う不安感に、いろいろなことを考えさせられる数カ月だったのではないでしょうか。

住宅市場の現場では資材等の調達に遅れが生じ、一部では工期に遅れが出るなどの影響もありました。

一方、これからマイホームを検討している方を悩ませているのが住宅ローンの選択です。

私はこれを、住宅ローンを真剣に考えて貰えるいい機会だと捉えています。

そして、何を考えるべきかは基本的に今までと変わりないと考えています。

過去の記事も参考に、改めて未来について考えてみるきっかけになれば幸いです。

住宅ローン破綻の現実

今、住宅ローン破綻の現実に直面している人が急増しています。
金融庁では住宅ローン支払困難者に向け、返済条件変更等柔軟な対応を行うこと等を各民間金融機関に要請しています。
しかしながら強制力はないため、実際のところは各金融機関により対応が異なるというのが実情です。
返済に行き詰まり任意売却や競売になれば、家を失った上にローンだけがむなしく残るという残酷な現実が待っています。

やっぱり今後も金利は上がらないのか

さて問題です。かつてバブルの終わり平成3年の変動金利は何%だったでしょうか。

答えは、8.5%。
現在の変動金利(店頭金利)約2.5%からは考えられない高金利でした。
もう30年近く前の話だと切り捨てたいところですが、多くの方が返済期間30年以上でローンを組んでいることを考えれば見過ごせない事実とも言えるのではないでしょうか。
現在は「超」が付く低金利時代。金利は底の底です。もう下がる余地はほとんどありません。
下がったとしても僅かです。

急激な金利上昇は有り得るか

さすがに8.5%は想像し難いですが、急激な金利上昇ということで見ると、昭和62年(1987年)から平成3年(1991年)までの僅か4年で3.6%上昇したという事実もあります。
今後も急激な金利上昇が絶対ないと言い切れるでしょうか。

仮に現在の金利水準で考えた場合、
借入額3000万円、35年ローン(変動金利/元利均等返済)
金利0.8%(店頭金利2.5%、△優遇金利1.7%)とすると、
返済額は81,918円/月ですが、
金利が3.5%上がった場合には、適用金利は4.3%(店頭金利6%、△優遇金利1.7%)になり、
返済額は138,284円/月になってしまいます。

金利が上がり始めたら固定に変えればいい?

それもよく聞く常套句ですが、そんなに簡単な話ではないのです。
一般的に金利が上がる時は変動金利よりも固定金利の方が先に上がるからです。
元々変動金利より金利が高いのに、金利上昇に気付いた時には更に上がっている、という現実に直面することになります。

ここ数年「100年に一度」と言われる想定外の事態に何度も見舞われてきました。
大震災、台風、感染症...
一方住宅ローンに目を向けるとどうでしょうか。
過去いろいろな経済ショックがありました。アベノミクスで市井には実感がなかったものの、景気が好転したこともありました。
それでも、反動があったにせよなかったにせよ金利が大きく上がることはありませんでした。むしろ下がり続けてきました。
そしてコロナショックを受けても、住宅ローン金利に今のところ大きな変動の兆しはありません。
“そうそう金利なんて上がらない”というマインドが定着するのは仕方ないことなのかもしれません。

想定外だから想定しない?

今のところ予兆もなく、景気回復どころか世界経済の先行きも不透明な中で、益々金利上昇など想像も付かないと思う人も多いのではないでしょうか。
あるいは、もし上がったとしても〝金利が上がるということは景気が良くなるということ=給料も上がるから問題ない〟という意見もあるかもしれません。
しかしこの点はそう話が簡単ではなさそうです。
なぜなら、給料が上がっても、税・社会保障の負担増などにより可処分所得(手取り)は思うように上がっていないという現実があるからです。
仮に景気が好転したとしても、少子高齢化が解消されない限り、社会保障の値上げが続くのは必至と言わざるを得ないでしょう。
前述しましたが、わずか4年で3.6%上昇したこともあります。約30年前のことです。
もう二度とそんなことは起こらないと言い切れるでしょうか。

変動金利は金利上昇リスクを自分たちが負うもの

アフターコロナの世界は誰にもわかりません。
誰が感染病が世界を揺るがすと想像したでしょうか。

現在の変動金利は1%を下回る金利が多く存在しますが、実際には優遇金利が適用されているからに過ぎません。
契約上、大抵一度でも滞納があれば優遇金利は適用されなくなります。
そうなれば、世の中の金利が上がっていなくても自分たちが借りているローンの金利は店頭金利の2.5%(仮定)になってしまいます。
ただでさえ収支が苦しいのに、金利まで上がって返済額が上がればどうなるでしょうか。
まさに今、この危機に直面している人たちが急増しているのです。

過去の記事でも触れましたが、
変動金利は金利上昇リスクを自分たちが負うもの
固定金利は金利上昇リスクを金融機関が負うもの
です。
変動金利での借入れを検討されている方は、
急激な金利上昇があっても対応できる耐性があるのかということをもう一度よく考えてみてください。
〝固定金利の返済額だときついから変動金利を選ぶ〟という人はより危険です。

もちろん職を失うような事態になれば、固定金利であっても支払いは困難になります。現状の金利で言えば、むしろ固定金利の方が月の返済額が大きくより返済が困難になるとも言えます。

一番重要なことは?

全てのリスクを排除することは残念ながら不可能です。
キャッシュで購入したとしてもそれは同じです。
ですが、想定し得る限りの想像をして、リスクをなるべく小さくすることは可能です。
変動金利であれ固定金利であれ、そもそもの返済額に負担感があるようではリスクに対する耐性が低いと言わざるを得ません。

一番重要なことは...
金利云々よりも、〝借入総額が過大でないか〟という点が、やはり重要なのです。



かつての東日本大震災が多くの人の価値観に変化を生じさせたのと同様に、コロナは
世の中に大きなショックを与えました。
これからの未来に何を思うべきか...

これを機会に、少し立ち止まって考えてみませんか。

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